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噂に違わぬ高性能ぶりに驚いた

噂に違わぬ高性能ぶりに驚いた

昨年から今年にかけて人気上昇中のハイエンドスピーカーブランド、VENTURE AUDIO(ベンチャーオーディオ) を一挙に視聴できると聞いて気持ちが高まる。試聴曲はコンテストで使用される事も多いジャズボーカルとクラシック。ダイアナ・クラール「ターン・アップ・ザ・クワイエット」からトラック3の「ラヴ」。ネマニャ・ラドゥロヴィチ「バッハ」からトラック4の「トッカータとフーガニ短調 BWV565」をチョイスして、3つのシステムで試聴した。

1 DD-ONE+DD6.5のシステムの印象
今回聞いた3システムの中ではもっともエントリークラスに位置する組み合わせだが、艶の良い音色と中域の密度感の高さに感心した。ダイアナ・クラールは血の通ったボーカルが明瞭にセンター定位して、ベースの質感もリアルだ。ボーカルとバックミュージックもよく分離していたが、何より音楽に一番大切な中域が充実しているので、ラドゥロヴィチでは、弦のアコースティックな質感と艶やかな音色に聞き惚れた。

DDBE-1.5とDD-6.5の2Wayシステム
ミドルクラスに位置する組み合わせだが印象が良かった。ダイアナ・クラールは、ベリリウムのツイーターらしい明るく明瞭な音色を基軸に聴感上のダイナミックレンジも広い。密度の高さと弦の艶やかな音色が両立しており、後に聞いた3ウェイの組み合わせには一歩劣るものの、この音はなかなか聞きごたえがあるなと感じた。ラドゥロヴィチでは、空間に広がるヴァイオリンの余韻、つまり小レベルの表現力が抜群で、ヴァイオリンとコントラバスの分離も良好。

DDBE-1.5・DD-4・DD-6.5の3Wayシステム
今回最上位の組み合わせだけあり、聴き手に対し鮮烈に訴えかけてくる音に驚いた。ダイアナ・クラールは、一聴してかなり情報量があり、高域から低域まで全帯域の解像度も高い。口元がコンパクトで等身大の表現で聞かせるボーカル表現。ラドゥロヴィチもワイドレンジで、会場の広さがわかるような抜群の空間表現である。ベリリウムにより高域の伸びがよく、それを質感の良いミッドとバスが下支えする絶品の再生音。ソリストのヴァイオリンとコントラバスという、ダイナミクスの異なる2つの楽器が同時に鳴っているときの描き分けも秀逸である。

筆者が感じたベンチャーオーディオのアドバンテージは大きく3点あった。1点目は非常に情報量が高いこと。2点目は分解度の高さ、そして3点目は音像が安定しており空間表現力も優れていること。この3点は、コンテストで上位に来るために欠かせない要素ということはコンペティターには言わずもがなだろう。また、音の粒子が細かく、特定の音域にピークを感じないので、原音に対して正しい解釈で音が表現できていることも印象的で、作り手の感性の高さを実感させるものがあった。

土方 久明

土方 久明(ひじかた ひさあき)
主に音元出版系媒体で活躍中のオーディオ評論家。ネットワークオーディオとPCオーディオに精通する新世代の評論家であり、様々なオーディオ誌にハイレゾ関連の執筆を行いながら、最近はオーディオ製品を取り扱う大手輸入商社でもハイレゾについて講義を行うなど、活発に活動中。

取材協力:on and on株式会社
URL:http://e-onandon.jp/

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